元市役所職員が教える 海外移住前の行政手続き
1年以上海外に住む場合、さまざまな手続きが必要になります。
この記事では、主に市区町村役場での手続きを詳しく説明します。
やることは以下の3つ。
- 国外転出届提出
- 健康保険脱退
- 年金の脱退または任意加入
会社員のまま渡航する場合(駐在員など)、社保(健康保険・厚生年金)に加入しているはずなので社会保険の手続きは不要であることが多いです。
国外転出届
お住まいの市区町村役場で、転出届を提出します。
転出日の14日前から受け付けています。
転出先住所は国名だけの記載でOKな自治体が多いので、最初しばらく Airbnb に泊まって家探しする場合などでも提出することができます。
転出先住所には国名を記入するだけで結構です。
ところで転出届って出さないとだめなの?
移住や居住のために1年以上海外に滞在することが決まっている場合は、転出届を出さないといけないというルールになってるよ
転出届を出さないと、健康保険や年金、住民税などを払う必要があってデメリットも大きいから、ルールに従って出すべきだと思うよ
■届出期間
転出予定のおおよそ14日前から届出ができます。転出後でも届出はできます。その場合は、転出した日から14日以内に届出をしてください(郵送での届出もできます)。届出が遅れた場合には、最高5万円の過料がかかる場合があります。(理由書を記入、簡易裁判所に送付)
マイナンバーカードの継続利用申請
2024年5月27日から、国外転出後もマイナンバーカードを継続利用できるようになりました。
このあたりの話は自治体のホームページですら古い情報が残っている場合があるので気をつけましょう。
マイナンバーカードを持っている人は、国外転出届出時に忘れずに国外継続利用申請をしてください。
健康保険
自分がどういう健康保険に入っているかは、保険証をよく見ればわかります。
自治体の国民健康保険であれば「交付者名 〇〇市」のように市区町村名が入っているはずです。この場合は、転出届出後に市区町村役場で脱退手続きをしてください。
自治体の国民健康保険でない場合は、健康保険組合名が記載されています。例としては「全国健康保険協会」など。
会社員でないのに自治体の国民健康保険でないケースとしては、会社を辞めたあと任意継続している場合などがありえますが、この場合は自分で健康保険組合に連絡して脱退方法を確認してください。市区町村役場で手続きすることはできません。
海外転出時、健康保険証は返納する必要があります。
年金
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満で厚生年金保険に加入していない人は、国民年金に加入する義務があります。「日本に住んでいる」ことが条件にあり、海外に住む場合は加入資格を喪失します。つまり、年金を払う必要がなくなります。
希望者は任意加入することで年金を支払い、将来もらえる年金額を増やしたり障害年金などの受給資格を得たりすることができます。
任意加入するためには別途手続きが必要なので、役場で国外転出届を出すときにあわせて脱退か任意加入いずれかの手続きをしてください。あくまで任意ですので、加入せず支払わなくてもまったく問題ありません。
ちなみに、海外移住して老後を海外で過ごす場合も、請求すれば年金を受給することができます。
まとめ
- 国外転出届 提出
- 国民健康保険 脱退
- 国民年金 脱退 or 任意継続